登山における安全について
山では、自分の身の安全は自分で守ること
都会生活に慣れてしまった人は、いつでも誰かの目の届く範囲で過ごす時間が多いと思います。ですが、山ではほとんどの場所で人の目が届きません。したがって、ケガをしようと、道に迷おうと、日が暮れようと、基本的には自分で対処しなくてはなりません。
自分の身を守るには、登山者自身で以下のような取り組みが必要です。
・どんな危険があるか?を把握すること(知識を得る)
・把握した危険への対処法を知っておくこと(実践する)
・できるかぎり、危険な状況に陥らない工夫をすること(予測する)
「日本山岳ガイド協会」では、安全に登山をするためのパンフレットを毎年作成してくれています。
こちらにPDFデータで掲載されているので、最低限目を通し、どんな危険があるのか?を知るところから始めましょう。
スマホを利用して山の中で現在地を把握しましょう
「山での事故」と聞くと、一番に思い浮かべるのはケガや滑落でしょうか?
平成29年の統計では、転倒が15.1%、滑落+転落が20%です。
では一番多い山の事故は何でしょうか。
答えは事故原因の約40%を占める「道迷い」です。
紙の地図を持っているから、山の中に案内板があるから、誰かに道を聞けばいいから。と安易に考え登山に向かう人が多いと思いますが、「ちょっと道がよくわからない」という状況になったとき、すぐにわかるところまで戻るでしょうか。
「こっちかな」と進んでしまい、結局、引き返すこともできなくなる、というパターンで道に迷ってしまう人が多いそうです。
ふじはらが登山時、常に使用しているスマートフォンアプリケーションがあり、登山中に現在地の把握が無料でできるものがあるので、スマートフォンを所持されている方におすすめします。
現在地が把握できることで、道に迷ってしまっても、目的地を目指せる(無事に下山できる)可能性が高まります。
ジオグラフィカ -スマホを登山用GPSにするアプリ-
このアプリのすごいところは、電波の無いところであっても、現在地が把握できるところです。(電波の入るところで事前に訪問する山の地図をアプリで表示する必要があります)
どんなに小さな里山でも、国土地理院の地図を見ながら歩くことができるので、おすすめです。
くわしい使い方は公式HPでご確認ください。
また、現在地の把握だけでなく、インターネット上に公開されているGPSデータを取り込んで、そのルートデータを見ながら歩いたり、一部有料ですが、自分の歩いた記録をGPSデータとして保存したりできます。
ジオグラフィカの他にも、スマートフォン向け登山地図アプリは複数リリースされているので、興味のある方はお調べください。
ラインでひとこと、家族に行先とルートを伝えましょう
「今日は友達と金峰山に行ってきます。日帰りで瑞牆山荘からのピストンの予定」
こういった一文でもいいので、家族や同居人などに、行先とルートを伝えておきましょう。ラインやショートメッセージでもかまいません。
通常、家族などから警察に捜索願が出された場合は、行先がわからない場合、警察は無数にある登山届から該当するものを探すところから始めるようです。(登山届が出されていない場合は山小屋の宿泊名簿、公共交通機関などでの目撃情報などから)
行先や予定のルートがわかっている場合はそれだけ捜索時間が短くなることが期待できるので、実践してみてください。同居してなくてもOKです。
登山における考え方
環境に負担の少ない方法「ミニマムインパクト」をできるだけ選択する
地球の環境に負担の少ない方法を選んで、実践していくのが、「ミニマムインパクト」の基本的な考え方です。この考え方を知っておくことで、登山に使う道具選び、交通手段、山での食事など、あらゆる行動に反映することができます。地球環境のためだけでなく、自分の心にも変化があるかもしれません。
自然を愛して自然から元気をもらう、という良いサイクルを続ける
人が自然の中に行くのにはそれぞれ理由があると思いますが、「元気になるから」という理由で行く人も多いと思います。そうやって、自然から元気の源をもらったら、できるだけ定期的に自然の中へ足を運ぶサイクルをつづけることをおすすめします。元気だけでなく、自然は時には厳しさを見せ、いろいろなことを教えてくれます。
厳しさのほかにも、季節ごとの表情、土地ごとの特色、そこに住む人たちの雰囲気、日本の植物や動物の多様性を知ることができます。知識だけでなく体感として得た記憶はずっと心に残るものだと思います。
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